フン族
フン族は4世紀から6世紀にかけて、ヨーロッパ寄りの中央アジア一帯に勢力を構えたアジア系の遊牧民です。
度々ヨーロッパにある国々を襲い領土を拡大しました。

フン族の起源は中央ユーラシア東部にあるモンゴル高原に勢力を築いた遊牧民「匈奴(きょうど)」にあるようです。
「フン族」は英語で Hun と表記して、発音は「ハン」とほぼ同じです。
なぜフン族がレンジャースを意味するのか
フン族がレンジャーズを意味するようになるまでには以下のような変遷がありました。
フン族 → ドイツ人 → イギリス王家 → レンジャース
一つ一つ見ていきましょう。
フン族といえばドイツ人
なぜフン族といえばドイツ人という考え方が一般的になったのでしょうか。
1900年に中国で起きた義和団事件に送り込まれるドイツ兵に向けて演説した第三代ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世のスピーチがその由来となっています。
Just as a thousand years ago the Huns under their King Attila made a name for themselves, one that even today makes them seem mighty in history and legend
アッティア王の元、フン族がヨーロッパの国々を次々に襲撃して名声を得たのは千年以上も前のことだが、彼らの力が並外れていたことには間違いない。
そしてこの後「今度は我々の番だ。中国を叩きのめせ。」というようなメッセージが続きます。
ヴィルヘルム2世がスピーチ内でフン族に言及したことは世に広まり、1914年に始まった第一次世界大戦では連合国の人々は敵対するドイツ人を嘲笑する意味で The Huns を使うようになりました。

「フン族に言及したドイツ皇帝」の話が人に伝わっていく間に「ドイツはフン族」と変わっていってしまったのでしょうか。
ドイツ人といえばイギリス王家
イギリス王家といえばエリザベス女王やその孫のウィリアムやハリーが日本では有名ですが、実は彼らの血筋をさかのぼっていくと、なんとドイツにたどり着きます。
例えば、ウィリアムとハリーを孫にもつエリザベス女王の高祖母であるビクトリア女王はドイツ人のアルバートと結婚しました。

高祖母は「おばあちゃんのおばあちゃん」です。
ですので「イギリス王家にはドイツの血が流れている」といっても過言ではありません。
イギリス王家といえばレンジャース
レンジャースは19世紀末にスコットランドのグラスゴーで誕生して、今もグラスゴーに本拠地があります。
レンジャースのチームロゴは青色です。
この青色は「ロイヤルブルー」と呼ばれるもので「イギリス王家の色」として広く認識されています。

セルティックはアイルランド、レンジャースはイギリスと深い関係があります。
Hun Skelper
スコットランドサッカーでは Hun Skelper という表現が時々みられます。
- Hun は元々「フン族」のことだが、「レンジャース」を指す。
- skelp は「打ちのめす」や「負かす」という意味の動詞。skelp はスコットランド英語特有の表現。
- 動詞の後に er がつくと、人を表す。ここでは skelp に er がついて「打ちのめす人」という意味。
Hun Skelper は「レンジャースを負かす人、叩きのめす人」ということを表していて、レンジャース戦で大量得点などで大活躍したセルティック選手はセルティックのサポーターから Hun Skelper とよばれることがあります。
ですので Hun Skelper は褒め言葉なのですが、Hun という言葉をそもそも不適切に使っているこの表現がよくないのです。

前田大然選手もこの言葉を使ってネット中傷されました。
Have Your Say